【代表メッセージ】SALES TECHを活用して社会に貢献できる営業支援事業を目指す

株式会社アイドマ・ホールディングス
代表取締役
三浦 陽平 / Youhei Miura

※この記事はLISTENの記事をもとに作成しています。

企業の営業課題を解決するプラットフォームを

「世の中には、素晴らしい製品やサービスを持ちながら、『売り方』や『売るべき対象先』がわからずに悩まれている企業様が多く存在します。そんな企業様の課題解決に貢献したいという想いで、営業課題を解決するためのプラットフォームをつくりました」

こう語るのは株式会社アイドマ・ホールディングス代表取締役の三浦陽平だ。2008年の創業以来、約10年間、法人向けの営業支援を通じて、多くの企業から信頼を勝ち取ってきた。これまでに同社がサポートした企業は4500社以上、現在も1ヵ月に平均30社のペースで新規顧客を獲得し、営業支援企業として全国No.1の実績を誇る。

顧客の多くは、従業員数100名未満の中小企業や法人向けビジネスを主体とする個人事業主。これまで社長1人の人脈や営業力だけで仕事を獲得してきた会社、受託や下請けの仕事が中心だった会社だ。アイドマ・ホールディングスでは、こうした企業が社長に頼りきりの営業活動や受け身の体制から脱却し、自社で営業力を備えられるよう支援を行ってきた。具体的には、ターゲット・営業チャネル・営業プロセスの各設計を事前に行い、アプローチを小さな単位で実行し、テストマーケティングを行う。そして売れる仕組みができたところで、在宅ワーカーの活用や、営業部門の内製化などを支援する。

すでに営業部門のある企業については、より効果的な仕組みをテストマーケティングで見つけ出し、その結果をもとに営業部門の強化や拡大に向けた提案を行っている。

最近では、新規事業を立ち上げた企業の「営業の仕組みをつくりたい」といったニーズや、自社で電話営業などを行っている営業会社で「外部委託は本当に効果が出るのか」といったことを検証する用途での利用も増えているという。

近年、三浦はこの営業支援サービスをさらに進化させ、新たなサービスを開始した。

それが『Sales Crowd』だ。Sales Crowd は、アイドマ・ホールディングスが開発した営業支援のためのプラットフォーム。これまで同社が蓄積してきた全国の法人約300万件のデータが登録されている。この企業データベースから自社の商品を必要としていそうな企業を人工知能で抽出し、即座にリスト化できるというものだ。業種、業態のほか、地域や企業規模、所属団体、上場準備中など細かい条件を組み合わせ、ターゲット企業を絞り込むことができる。

また、絞り込んだリストに対して、インターネットから電話をかけたり、メールDMを発送したり、ビデオ商談をするといった営業活動の実施も可能だ。

さらに、Sales Crowd にはアポイントの取得状況や商談後の結果も自動的に蓄積されるため、営業活動の分析が容易になり、チーム全体で状況を把握できる。営業リストの作成など、これまで人の手によって行われていた営業の仕事の多くがSales Crowd を導入することで飛躍的に効率化される。テクノロジーを用いたこれらの仕組みを、同社では「SALES TECH」と名付け商標を獲得。業界をリードする存在を目指す。

「『働き方改革』で労働時間削減が進められる一方、『営業の効率化』は遅れていましたが、最近は『営業活動の効率化』に目を向け始める経営者が増えています。Sales Crowdをご利用いただくと、営業部門がない企業もほとんどパワーをかけずに容易に営業をスタートすることができます。すでに営業部門がある会社においても、営業スタッフがコア業務に集中できるようになるため、ダイレクトに売上が増加し、非常に喜ばれます。今後はこのプラットフォームを軸とした営業支援を主力事業としていきます」

同社ではSales Crowdのレンタルに加え、アポイントの代行サービスも行う。具体的には、Sales Crowd上で用意したリストに対して、全国各地に約2000名以上存在する同社の在宅スタッフにクラウドソーシングできるというサービスだ。在宅スタッフは、営業経験のある育児中の主婦や介護離職したミドル層などが多い。

「営業の仕事は、プロセスごとに分業できると考えています。リスト作成やスクリプト作成などは人工知能やシステムで人のパワーをかけずに実施し、実際のアプローチや商談機会をつくる段階は在宅スタッフ、実際の商談に行くのは自社社員…といった分業を可能にするのが今回のプラットフォーム事業。単にシステムで効率化するだけではなく、就労環境や労働時間に制約がある人に働くチャンスを提供できるという点で、社会貢献にもつながっていると考えています」

営業を極め、人を「助けたい」。これがすべての原動力だった

三浦が起業に興味を持ったのは、就職活動を控えた大学3年生のときだった。それまでは弁護士を目指していたが、あるとき、現役の弁護士から「なぜ弁護士になりたいのか」と問われ、三浦は答えることができなかった。

この出来事をきっかけに、三浦は「何のために働くか」を深く考えるようになった。

「これから社会人になると考えたとき、『三浦が生きていて良かった』と人に言われるような生き方をしたいと思いました。友達や家族が困っていたら、助けられるような人間になろうと。しかし、人を助けるにはお金を稼ぐ必要がある。ならば、経営者になろうと考えました。そこで、ある経営者に相談したところ、社長になりたいのなら、営業か技術のどちらかを磨いたほうがいいと言われ、まずは営業を極めてから起業しようと決意しました」

25歳までに起業すると決め、営業スキルを身に付けるべく、三浦が選んだのは環境系のベンチャー企業。商談相手は経営者が多く、かつフランチャイズ事業の販売という難易度の高い営業だったからだ。このとき、初めて受注したお客様のことを三浦は今でも覚えている。

そのお客様は、三浦と同年代で独立を目指している青年だったが、両親の反対を受け、迷い続けていた。その姿が、起業を目指す自分と重なり、仲間意識に近い気持ちで対話を続けた。最終的に受注に至ったとき、三浦は、「売り込む」よりも「一緒に解決する」という姿勢が人の心を動かすということを学んだ。

1年後、三浦はさらに営業力を高めるため、フルコミッション型の採用コンサルティング会社に転職。成長のため、自らを追い込みながら仕事に取り組んだ三浦は、1年でトップセールスを達成。「努力すれば一番になれる」ことを確信した。

そんなときに、三浦はあるクライアント企業から、営業部署の立ち上げに際しての営業人員の採用と育成について相談を受ける。採用支援に加え、営業人員の育成をサポートしたところ、クライアントから大いに喜ばれた。この一件から、三浦には営業部署の立ち上げを目的とした採用支援の依頼が舞い込むようになった。そこに事業の可能性を見出した三浦は、アイドマ・ホールディングスを設立。25歳で念願の独立を果たした。

設立当初は営業部署の立ち上げ支援よりも、お客様に代わりアポイントを獲得する営業代行のニーズが高かった。そこで三浦は営業代行に注力したものの、3年後に終了させた。

あるお客様に「御社には効果の高いターゲットや切り口を見つけてもらうことを期待していたのに、ただの営業代行じゃないか」と言われたことがショックだったからだ。

「このクレームをきっかけに、20案程度、営業ターゲットの仮説を提案しました。そしてターゲットごとにアプローチ結果をまとめ、マーケティングデータとしてお客様に提供したところ非常に喜ばれたんです。営業代行専門のコールセンターはたくさんありますが、ターゲットの提案やアプローチ後のデータを残してくれる会社はほとんどない。営業活動自体をお客様に納品し、資産として残す。これがお客様から当社に求められていることだと気付いたのです。お客様の満足を追求することの大切さを改めて実感しました」

営業支援を通じ、社会問題解決への道をつくる

事業のスタイルを転換し、大きく成長を遂げたアイドマ・ホールディングス

三浦は、今後の事業展開を、社名の由来でもある「aid(助ける、支援する)」により近づけ、さらに社会的価値のある企業にしていきたいと考えている。

三浦が経営を通じて、社会貢献や会社の存在意義を追求しているのは、出張で行ったミャンマーで見た光景が忘れられないからだ。三浦は、都市部であるヤンゴンで、子供の亡骸を抱いている母親を目にしたのだ。当時、自身も父親になったばかりだった三浦は、その姿にショックを受け、自分の生きている意味やなぜ経営をしているのかを突き詰めて考えるようになった。そうして行きついたのが「少子化」問題だ。

「先進国がこれから直面する『人口の自然減少』という人類史上まれにみる課題に、世界中で最も早く直面している国が日本です。この問題を解決するソリューションを見つけ、海外各国にそのソリューションを輸出することで、当社のビジョンである『世界の可能性を広げる』ことができると思っています。具体的には、今後、働き手が少なくなる企業の業務改革の一助を担い、働きたいけれども働けない方の就労につなげていきます。今は『営業』という業務に特化していますが、今後は営業以外にも『人事』『広報』『経理』などに広げていきたい。そのために、人材の採用・育成を行いつつ、Sales Crowdのようなテクノロジーをベースにしたプラットフォームを開発し、企業と働く人を支援していきたい。少子化をチャンスとし、これからの未来を明るくしていこう――そんな想いを持った人たちと一緒に、存在意義のある会社づくりに挑んでいきたいですね」